誇張法と触れ方

オステオパシー誇張法の施術をされている方に講習のリクエストをいただいて行ってきました。
オステオパシーはアメリカ生まれですが、誇張法は日本の齋藤先生(故人)が創始されて現在でも施術や講習を行っている方がいらっしゃいます。

関節が歪んでいる方向に非常に弱い力で動かしていく(歪みを誇張する)のが主な技法です。
実際に少しやってもらいましたが、本当に触っているだけみたいな感覚です。

弟子の方は「齋藤先生がご自分でやっていて、辿り着かれた独自の部分というのは、やはりイメージと意識の使い方だと思います。これが誇張法の要の部分です」と述べています(参考サイト)。
単純に物理的な手技ではなく、エネルギー療法的な要素もあるようです。
(カイロプラクティックにもその要素があります)。

斎藤先生や講師の方はよく「もっと力を抜いて」とおっしゃっていたそうですが、力を抜くというのは意外と難しいものです。
そもそも自分の力み(緊張)には気づきにくいからです。

心身楽堂では身体操作的、技法的、そして心理的に力を抜く具体的なメソッドをお伝えしています。
筋肉を押して緩ませるとか矯正して緩ませるとかではなく、自分が緩むことで相手に緩みが伝わります。
体験したことがないと分かりにくいと思いますが、施術家にとっては画期的なことです。
誇張法とも相性が良さそうなので是非活用していただきたいと思います。

氣を感じるコツ

氣を感じるというのは手技療法においても武道においても重要な要素です。
施術家なら、受け手を見たり触れたりしたときに相手の状態を感じることができれば、効果的な施術が行なえます。
武道なら、相手が攻撃するときの気配が分かると非常に有利です。

氣を感じる方法について書かれたものはあまりありません。
私が以前ある方に習ったときは「ひたすら対象に集中してください」と言われました。

しかし、集中しようとすると緊張してしまうケースが多いようです。
たとえると、暗いところで目を凝らすようなものです。
対象が人の場合、相手は探られたように感じ緊張してしまうため氣を感じにくくなります。

暗いところで対象を見たいときは明かりを点ければいいですね。
氣の場合、明かりを点けるのに相当するのは「相手に良くなってほしい」などの肯定的な関心を持って癒やしの氣を出すことです。
これによって、自分も相手もリラックスして融合した感覚が生じます。
この感覚が生じれば、自然に相手の状態が自分に映ります。

植物を相手に氣を送ると、氣がすぐに返ってきて、気持ちよくなります。
人が相手だとなかなか氣を返してくれなかったり、時には反発するような氣が返ってくることもあり、ちょっと大変です(笑)。

それでも氣を送っていると、相手の動きが悪いところや、動こうとするときの気配が比較的容易に察知できます。

しばらく氣を送っているとヒーリングにもなります。
触れなくても効果はでますが、触れた方が効果が高いです。

「施術家だったら相手に良くなって欲しいと思うのは当たり前じゃないか?」と思われるかもしれませんが、現在の整体手技は「身体の悪い部分を探して矯正する」という物理的なものが多く、触れた時点で相手を緊張させている方が多いです。

「筋膜などの組織を意識して触診しましょう」と教える人が多いのですが、実はこれでは相手を緊張させて、ダメージを与えてしまうのです。

気のヒーリング効果で相手の力を抜く

心身楽道では「癒やしの武道」を研究しています。
武道で相手を動かそうとする時、まずは身体の使い方を工夫します。
身体操法については「健康法の極意2」で基礎的なことから解説しています。

それに加えて、気でヒーリング作用を起こすことで自分と相手との融合感がある状態になると、相手は力が抜けた感覚になり比較的容易に相手の身体を動かすことができます。

自分が戦意が無い状態、さらには相手に対して優しい気持ちを持つほど融合感が出やすくなります。

動画ではまず小指一本で腕相撲に挑戦しています。
次に親指で相手の掌を押すのに挑戦しています。

あえて身体操作は封印して気を通した効果だけ見ています。

気を通すにはイメージを使う方法や、発勁と同じ原理を使う方法があります。
後者を心身楽道では「力を抜いて気を通す技法」と呼んでいます。

気を通されてもそれを感じられれば返すことができます(少年マンガみたいですね)。

透明感のある気が通せれば、返そうとしてもできません。
透明感のある気を通すには、相手への思いやりと意識のコントロールが必要になります。
この進化した「透明な気を通す」技法は健康気功講座を一通り学ばれた方に、上級コースでお伝えしようと考えています。

コミュニケーションでいうと、適当に頼まれると断りたくなりますが、こちらのことまで考えてもらったうえで頼まれると引き受けたくなるのに似ています。
武道も殴ったり蹴ったりではなく非言語コミュニケーションと捉えると、痛いのが苦手な人でも楽しめます。
心身楽道の癒やしの武道は暴力反対です(笑)。

親指で掌を押すのは意味が分かりにくいかもしれません。
押せないということは相手に防御反応を起こさせてしまっているということです。
防御反応が起きると心身が緊張して筋肉は固くなります。
つまり、押せない人にマッサージされると身体が固くなります。
施術家の実力チェックにも使えます。

押せるということは逆に緊張を抜くことができ、筋肉も緩めることができます。

施術も単なる身体操作ではなく、非言語コミュニケーションなんです。
最近、受講生さんがこれを意識したら施術効果がすごく上がったと報告してくださいました。

精神的な要素を重視する武道には遠藤喨及氏の創始した気心道、真仙明氏の創始した転神流などがあります。

転神流でも技法を行うことで「合気道の達人のような無効化する力がでてきます」(転神白書)と述べています。

第2回仙台セミナー

昨日、第2回仙台セミナーを開催させていただきました。
特に、頭に触れて離れている箇所の可動域を改善する技法に皆さんご興味を持たれたようです。

さっそく施術に活用されたご感想をいただきました。

「昨日教えて頂いた頭部へ触れる技法で肩回りの筋肉のコリや関節の動きが激変して大変びっくり不思議がられました。
大変感激してくださり次回の予約もいただくことができました。
ありがとうございました!」

「(施術前に)首のことは全く聞いてなかったんですが、頭へ触れる技法を行ったら施術後に突然、何年も上を向くと痛かった首が痛くなくなったと大変感激して頂けました」

下の動画リンクは「緩みを発生させる技法」の練習風景です。
遊んでいるみたいですが(笑)。
動画リンク(5秒)

「ヒーリング・ウォーキング」POD版発売のお知らせ

先日お知らせしていたように、「ヒーリング・ウォーキング」のPOD版が発売になりました。(POD:プリント・オン・デマンド)
印刷コストの分、価格がちょっと高めになりますが、紙の方がいいという方はPOD版をどうぞ。
(これでも著者取り分を業者の推奨より少なくしています)。

PODなら誰でも低コストで出版できるので、印刷物としての出版に興味がある方はPOD出版で調べてみると良いと思います。
(私は見本作成しか使いませんでしたが、ISBNコード発行とか表紙作成とか有料オプションがいろいろあります)。

気功に対する誤解

前々回の記事を見た方から、1月のTV番組「マツコ&有吉 かりそめ天国」でドランクドラゴンの鈴木拓さんが「相手が誰でも気で飛ばせる」と豪語する気功師と対決した、と教えていただきました。
この気功師さんは日本で初めて気功道場を開いた方だそうで、2006年にも気功治療家としてテレビに出たことがあるようです。
一方の鈴木さんはグレーシー柔術を23年続けているそうです。

気功師が弟子の方を飛ばすデモを見せた後、鈴木さんに5分間気を入れる動作をしました。
そのあと10分間気を送っている動作をしたのですが、鈴木さんはほとんど動きませんでした。
アシスタントプロデューサーの女性はちょっとだけのけぞりました。

Twitterで部分的に動画が上げられています。
ネットでは以下のようなコメントが見られました。

1「気功は催眠みたいなもの」
2「強力な思い込みなのかな」
3「気功って受けとる側も気を感じてないと効かないものらしい」
4「動いたのは手を近づけた反射でのけぞっているだけ」

これらについてコメントすると以下のようになります。

1.別の技法です。
2.感じる人ははっきり感じるので思い込みではありません。
「気は思い込みだ」と思いこんでいる人は感じにくいというジレンマがあります。
3.正しいです。気を感じるには緩んでいる必要があり、力んでいる人は感じません。
4.今回の場合はかなり近くから手を払う動作をしていたので当てはまっているかもしれません。
動く時はほとんど手を動かさなくても動くので反射では説明がつきません。

気についてなかなか正しい情報が広がらないのは、未だに「人を飛ばすのが気功」というイメージで扱われていたり、見る側がヤラセを疑ってしまうということもありますが、誰でも気を有効利用できるメソッドが無かったという問題もあります。

気功を何年か習っていても使えるようになっている人は少ないです。
気功を教えるところは気功っぽい体操教室になってしまっている所が多いように見受けられます。

心身楽道では誰でもできるようにいきなり極意を教えるので、早ければ一日で気で相手を動かしたりできるようになります。
動かすこと自体は気が使える目安でしかありませんが、それができれば手技療法や武道に応用できます。

螺旋の力 補足

受講生の方に「ヒーリング・ウォーキングのときに螺旋の力がどう働いているのかよく分かりません」というご質問をいただきました。

拙著「ヒーリング・ウォーキング」の最近までの版ではあまり詳しく書いていなかったのと、一部図がおかしかったので改訂版で説明を加えました。
購入済みの方は新しい版をダウンロードしてください。
表紙が黒いものが新しい版です。

ここでは螺旋の力の簡単な説明と、追加した部分を少し編集して掲載します。
螺旋の力というのは関節を本来の動かし方で使ったときに働く力です。
骨や関節の構造がバネのような形になっているので螺旋の方向に力が働きます。

ほとんどの人が関節を蝶番のようなイメージで使っていて螺旋の力を使えていません。
ヒーリング・ウォーキングでは関節を本来の動かし方で使い、螺旋の力を利用することで自動的に進むような感覚が得られます。

右足が接地してからしっかり着地するまでは右脚を外にひねり、身体を時計回りに回転させる下向きの螺旋の力が働きます(図A)。
この力で左足が前に出ます。
螺旋の力

図でオレンジ色の線は下向き、緑色の線は上向きの螺旋の力を示します。

右足に体重が載ると地面を踏む力の反作用で上向きの螺旋の力が発生します。
上向きの螺旋の力は右脚を内にひねり、身体を反時計回りに回転させる働きをします。

このときに左足が十分に前に出ていないと、地面を踏むと上向きの螺旋の力が左足を後ろに下げる働きをします(図B)。

ヒーリング・ウォーキングのときは右足に体重が載った時点で左足が右足より前に出ています。
この場合、上向きの螺旋の力は左足を左前方の方に進めるように働き、身体も前に進みます(図C)。
外側に捻られた右脚が元に戻っていくのに身体は前に進んでいくので、右足を観察しているとちょっと不思議な感じがします。

このように二方向の螺旋の力が巧妙に働いて自動的に前に進む感覚が得られます。
できるようになると、これが本来の身体の使い方だということが体感できます。

以前の版では上向きの螺旋の図示がおかしかったのでお詫びして訂正します。
なお、「ヒーリング・ウォーキング」はPOD(プリント・オン・デマンド)版の発行申請中です。
Kindle版は改訂版として価格改訂する予定です。

続:発勁の原理

心身楽道の講習で興味をもたれる人が多いのが発勁です。
約1年前に発勁の原理について書きました。
拙著「健康法の極意2」により詳しく書いています。

自分と同じことを書いている文献が見つからないことにちょっと不安を感じていました。
というのは、あまりにも他の人たちが書いていることがバラバラだからです。
瞬間的に力を出すことや体重を手にうまく乗せることが発勁だと思っている人が多いようです。
「発勁とはすごく速く打つこと」と書いている人もいます。
密着した状態から打つ場合は速さが0なので当てはまりません。

物理学の「運動量保存の法則」を考えると速く打たないと相手は動かないはずですが、力を抜くことで勁を発生させると密着した状態からでも相手は動きます。
防御反応や気の概念なくして発勁は説明できません。

長岡でのセミナーを受講された菅原先生が「太極拳パワー」(スコット・メレディス)にも発勁の原理が書いてあるとおっしゃっていました。
以下Twitterからの引用です。


私は非常に「勁」に興味を持っているのだが、太極拳で言う勁は、相手の力を受け容れ、足下に流して跳ね返ってきたエネルギーを全身に浸透させ、発することである。
このことを明確に述べているのがメレディスの『太極拳パワー』と則本氏の『健康法の極意2 武道に学ぶ』である。


実は「太極拳パワー」を少し読んだことがあるのですが、内容以前に文章が読みづらくて挫折してしまいました。
とりあえず同じことを書いている人がいたということで安心しましたが、読みかけていたのに気づかなかったとはお恥ずかしいです。

「健康法の極意」シリーズは読んだだけでできるように努めています。
それでも講習を受けないと難しい部分がありますが。
講習では4~5時間で発勁ができるようになります。
(上記は受講者が2名の場合。時間は人数によって増減します)

武道に興味がない人でも施術や呼吸法には発勁の原理が必要になります。
発勁の原理を用いると、受け手に癒やしの気を満たすことが可能になります。
これができるようになるのは心身楽道だけだと思います。

先日の講習では試しに少し離れた場所から発勁を行ってもらっても受け手は後ずさりました。
ゲーム「ストリートファイター」シリーズの波動拳とか「ドラゴンボール」のかめはめ波みたいですが、お互いに緩んでいるとそうなります。
気功で弟子は動くけど初見の人は動かないというのは別に馴れ合いとかヤラセではなく、初見の人は力んでいて気を感じないから動かないのです。